リア王女と魔法のジュエル
(こちらのイメージイラストはみろかありさんが描いてくださいました
まだ、妖精のてんとう虫のビトンが出てきていませんね )
「夏の漫画まつり風」
7話
さて、木こり小屋を出てきてしまったリア王女はというと・・・。
「なによ!あんなバッタ!!誰かの脚に踏まれてしまったらいいんだわ!!」
怒りにまかせて、山をグングンと下りていました。
食べ物を探してはいましたが、そのじつ、続いている小道をただ歩いてきただけ。
リア王女は、どんな木に・・・どんな植物に・・・食べられる実がついているなんてまったく知りませんでした。
なので、一向に食べ物は見つかりません。
このまま見つからないのではと、不安になっていました。
ですが、運のいいことに途中で、花が沢山咲いている場所を見つけました。
濃厚な甘い香りがして、なんだか心までふわふわしてきます。
お腹が空いているのも忘れて駆けだしてゆきます。
リア王女はお花が大好きでした。
王妃の母も好きで、一緒に種を植えたこともあります。
ですから、花のことなら少しは知っています。
花の中心に蜜があることも知っていました。
甘い花蜜を吸って、リア王女は少し落ち着いてきました。
「そうよ。私だってできることがあるはず・・・」
きれいな花びらをに鼻を近づけると、ゆっくりと吸い込みました。
途端に、またふわふわと素敵な気持ちになります。
なんだか、また、眠くなってしまったリア王女は、その花畑ですやすや寝込んでしまいました。
「おい!何か引っかかったようだぞ!」
花畑の草むらの中から、三匹のモグラが土の穴から顔を出しました。
モグラといっても、小さなモグラではありません。ローレンスのように人型の形をしているモグラです
茶色の毛が逆立ったモグラは、眠り込んだ少女を見て、驚き慌てふためきました。
「おい!人間だぞ!どうする?」
「こんなところに人間が?しかも、女の子だ」
「なかなか、可愛い子だぞ!連れて帰って家の掃除でもさせるか?」
三匹はどうするか相談しています。すると、一匹のモグラがリア王女の綺麗な服を見て手を叩きました。
「見ろよ!これ!」
リア王女の服には、金の糸や銀の糸などを使って、装飾品が飾られていました。
「なあ、この服。売れば言い値になるかもな!」
「そいつはいい!」
モグラ達は、リア王女の服の装飾品を引きはがそうとしました。
長い前歯で噛みつこうとしたその時、その噛みつこうとした一匹のモグラの顔にコツンと、何かが当たりました。
「いてえ!!!」
自分に当たって落ちたものを見てみると、木の実のようでした。
「なーんでこんなところに、木の実が?」
上を見上げたモグラ達の顔に、ここぞとばかりに、さらに木の実が容赦なく落ちてきます。
「いて!!いててて!!!」
「おお!痛い!!」
モグラ達は両手でそれをかわしながら、やっと上を見上げて、それが一匹のバッタであることがやっとわかりました。
「覚悟しろよ!バッタめ!!」
拾った木の実を拾い集めるとモグラはバッタに向かって、投げつけ始めました。
ですが、なかなか飛んでいるバッタを仕留めることができません。
そうこうするうちに、一つの木の実があらぬ方へと飛んで行って、寝ているリア王女の額に当たりました。
(い、痛い!!)
痛みでリア王女は目を覚ましました。
目の前にきれいな花畑が浮かんだと思ったら、その花色を荒らすように茶色の何かがあります。
よく見ると、モグラが二本脚で立っていました。
しかも三匹です。
リア王女が、悲鳴を上げたのは間違いありません。
「キャー!!」
その声に、モグラ達が慌てました。
「しまった、女の子が起きたぞ!」
「逃げられる!!掴まえろ!!」
王女を掴まえようとモグラ達が近づいてきます。
リア王女は無我夢中で近くにあった木の実や石を、モグラに投げつけました。
ヒューン!ヒューン!!ヒューン!!!
バッコン!!!
「ギャー!」
三つ投げた一つが、モグラの額に直撃しました。
一匹のモグラはふんぞりかえると、気絶してしまいました。仲間のモグラが助け起こします。
「おい!大丈夫か!!」
「よくも仲間を・・・許さねえ!!」
怒ったもう一匹のモグラが、リア王女へと怒りを露わにして襲ってきます。
リア王女は石を投げましたが、さっきのよう上手くいかず、なかなか当たりません。
「嫌!!来ないでよ!!」
持っていたすべての石を投げつけ、慌てて裾のあるスカートを掴み逃げ出します。
モグラは四本脚になって追っかけてきました。ドンドン追いつかれてしまいます。
あともう少し。
王女のスカートに手が届く一歩手前でした。
8話へと続く
毎週金曜日にこの物語を投稿予定です。
よろしくお願いいたします。
きゅりあ